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粘膜疾患(ねんまくしっかん)

粘膜疾患

粘膜疾患とは


粘膜疾患とは舌・頬・歯肉・口蓋などの口中の表面のピンク色をした粘膜から発生する病気です。口の中には種々の粘膜疾患が発生します。
口腔粘膜では食事、歯、入れ歯などによる刺激や、食物などで汚れやすいことから容易に感染をおこしやすく、本来の典型的なかたちで病変が現れずにむしろ様々な変化を起こした状態で受診される事が数多くあります。
粘膜疾患には口腔粘膜のみに生じる病変を生じる場合と、思わぬ全身疾患の部分症状として粘膜に症状を現す場合、そして粘膜と多くの共通点を持つ皮膚疾患の部分症状としての病変を現す場合、また悪性腫瘍の場合もあり注意が必要です。

粘膜疾患の種類と治療

アフタ性口内炎

【アフタ性口内炎】


アフタは類円形の浅い潰瘍(かいよう)で、潰瘍の表面は灰白色〜黄白色の偽膜で覆われ、周囲は赤くなっています。食物や歯ブラシなどの接触痛や刺激性の食物にしみたりします。
アフタは何もしなくても数週間で治りますが、アフタが再発を繰り返す場合(再発性アフタ)もあります。尚、慢性再発性アフタはベーチェット病の一症状として生じることもありますので注意が必要です。

口腔カンジダ症

【口腔カンジダ症】


カンジダ・アルビカンスという真菌(かびの一種)によっておこる口腔感染症です。カンジダ菌は口腔内の常在菌の一種で、他の菌と共存しています。しかし、ステロイド薬の投与や免疫力の低下している状態、唾液量の減少、長期間にわたる抗菌薬の服用などにより、常在菌間のバランスが崩れ、カンジダ菌が異常増殖し発症します。
偽膜性(ぎまくせい)カンジダ症は灰白色あるいは乳白色の点状、線状、あるいは斑紋状の白苔が粘膜表面に付着しています。この白苔をガーゼなどでぬぐうと剥離可能ですが、剥離後の粘膜面は発赤やびらん(粘膜の浅い欠損)を呈しています。
病変が慢性に経過した肥厚性(ひこうせい)カンジダ症では、白苔は剥離しにくく、上皮の肥厚を伴うようになります。治療は口腔内の清掃、抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬を使用しますが、時に抗真菌薬の内服を必要とすることもあります。

黒毛舌

【黒毛舌(こくもうぜつ)】


舌の糸状乳頭が角質増生により、舌に毛が生えたように見える状態を毛舌といい、黒色の着色を伴うものを黒毛舌といいます。主として投薬による口腔内細菌叢(そう)の変化が原因と考えられています。特にカンジダ菌あるいはある種の枯草菌が異常に増殖し、黒色の色素を産生するものとみなされています。そのほかタバコ、飲食物、有色の薬剤によって舌に種々の着色をみることがあります。
抗生物質などの薬剤を使用している場合は、出来れば使用を中止するか薬剤を代えてみます。局所的にはイソジンガーグル、過酸化水素液の含嗽や塗布、トローチなどを使用し、さらに口腔清掃に努めます。

白板症

【白板症(はくばんしょう)】


口腔粘膜、とくに舌や頬粘膜、歯肉にみられる白い角化性の病変で、こすっても剥がれないものをいいます。
白板症は比較的頻度も高く、とくに舌にできたものは悪性化する可能性が高いため、前がん病変の代表的なものとされています。びらんをともなうこともあり、接触痛や食べ物がしみたりします。しこりや潰瘍をともなうものは初期がんが疑われるため、組織をとって検査する必要があります(生検)。

紅板症

【紅板症(こうばんしょう)】


紅色肥厚症(こうしょくひこうしょう)ともいわれ、舌、歯肉、その他の口腔粘膜に発生します。鮮紅色でビロード状、表面は平滑な病変です。境界は明瞭なものが多くみられます。初発症状として多くの症例で刺激痛が認められます。一般的に50歳代以上の高齢者が全体の80%を占めています。 紅板症の50%前後が悪性化するといわれています。治療は、外科的に切除するのが望ましいとされています。悪性化する可能性が高いため、治療後にも経過観察を行う必要があります。

扁平苔癬

【扁平苔癬(へんぺいたいせん)】


角化性で炎症をともなう難治性の病変です。口腔では頬粘膜に多く認めますが、舌や口唇にも生じます。白い粘膜の角化がレース状にみられ、周囲に発赤を伴うのが特徴です。しばしば、びらんや潰瘍を形成し、接触痛や食物がしみたりします。まれにがん化することもあります。
治療は、うがい薬やステロイド薬や抗菌薬を含む軟膏を使います。

帯状疱疹

【帯状疱疹(たいじょうほうしん)】


子供の頃にかかった水痘のヘルペスウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、神経に潜伏して、体調が悪いとそれが活性化されて発症します。三叉神経領域の口腔内や顔面皮膚に多く認めます。画像は、三叉神経第U枝領域(上唇、上顎・口蓋歯肉)、第V枝領域(下唇、下顎歯肉)に発症したものです。広い範囲に帯状に発赤と小水疱ができ、かなりの痛みを伴います。水疱の治癒後も疼痛が残る帯状疱疹後神経痛となる場合もあるので、抗ウイルス薬による早期治療が必要です。

天疱瘡

【天疱瘡(てんぽうそう)】


口腔粘膜や皮膚に水疱を生じ、早期に破れてびらんとなり、痂皮(かひ;かさぶた)に覆われ、それが乾燥して治癒いくが、一方では次々に新しい水疱が形成され、難治性(なんちせい)となる。一見正常な上皮を擦ると、容易に剥がれ、出血性びらんとなり(ニコルスキー現象)、疼痛のため食事摂取は困難となる。治療は、ステロイド剤、免疫抑制剤などの全身投与を第一とし、局所療法として副腎皮質ステロイド剤の噴霧薬、軟膏を用いる。


担当:熊丸 渉

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