教授あいさつ


CEO


口腔顎顔面病態学講座 口腔顎顔面外科学分野について


当分野は、1922年に発足した九州帝国大学医学部歯科学講座(1926年に歯科口腔外科と改称)に端を発し、1967年に医学部から分離・設置された歯学部の口腔外科学講座が1977年に2講座に拡充・開設され、誕生した口腔外科学第二講座を母体としています。
その後、大学院重点化により2000年に歯学部は歯学研究院に改組され、現在の呼称に移行しました。診療科としては、1978年より第二口腔外科として診療にあたってきましたが、歯学部病院の改組により、2002年より口腔顎顔面外科大診療科の中の顎顔面口腔外科として、さらに2003年の医学部、歯学部、生体医学研究所の各附属病院統合により、九州大学病院顎顔面口腔外科として、顎顔面腫瘍学分野とともに協調して診療活動を行っています。なお、2004年に九州大学は国立大学法人に移行いたしました。
初代の岡 増一郎教授(1977~1995年)、第二代の白砂兼光教授(1995~2009)の後を私、森 悦秀が引き継ぐこととなり、2010年4月に着任いたしました。今後、診療と次世代の歯科医療を支える人材の育成、次の歯科医療のための研究を推進していく所存です。

顎顔面口腔外科では、顎顔面腫瘍学分野と当分野のスタッフが協調し、すべての口腔顎顔面疾患に対応できるよう診療にあたっております。現在は移行期で、2分野の診療内容に重複する部分がありますが、今後専門分化をはかり、より高度な歯科医療を地域、日本国内、さらには海外に提供できるよう、体制作りに取り組んでいます。
診療の基本方針は、専門的医療職業人倫理に基づき、患者さんの自立性・自己決定権を尊重し、患者さんのためになる歯科医療を提供することです。また、医療における社会的不平等や差別を排除するために活動します。 診療内容は、一般の診療所では困難な抜歯など、口腔外科的疾患にはすべて対応し、必要に応じて九州大学病院医科および歯科部門、あるいは紹介元医療施設と連携しています。
中でも口唇・口蓋裂、顎変形症、口腔悪性腫瘍、歯科インプラントおよび再生技術を用いた口腔顎顔面再建、顎顔面外傷などの外科的治療、顎関節疾患、口腔粘膜疾患、末梢神経障害等に力を入れています。


口腔顎顔面疾患の多くは、診断、治療から機能回復に至るまで、歯科の総合力を要求します。私たちは、口唇・口蓋裂、顎変形症、口腔悪性腫瘍は歯科部門横断の専門外来で、歯科インプラントはインプラントセンターで対応しています。また、これからの歯科医療を発展させるため、研究活動と連動して新しい治療法、材料の開発を進めています。現に、口腔外科手術ナビゲーター、新しい生体材料などのシーズが出てきており、今後の成果に期待頂けると幸いです。九州大学歯学部および大学院歯学研究院は、次世代のリーダーとなる歯科医師の養成を目標としています。学部においては年々膨張しながら変容する口腔外科学に関する知識を遅滞なく教授するとともに、高度で集学的な現代医療の一翼を担える歯科医師としての知識、技能、態度の習得に導きます。学府教育は研究活動と連動していますが、臨床での疑問や要求に答えるトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)を推進し、自ら考え、問題解決ができる次世代のリーダーの育成を目指しています。また、卒後臨床教育でも口腔外科の将来を支え、リーダーとなる人材を育成するために、様々な活動を行っています。


研究は、多様性を維持しつつ臨床教室の研究として社会に貢献するテーマを追求しており、このホームページの「研究内容」で紹介されているように、バライティに富んだ研究が進められています。当分野では、ともすれば閉塞気味と思われている歯科医療にイノベーションを起すことを目的に、日々の活動を行っています。口腔顎顔面外科学分野は、口腔顎顔面疾患を対象に診療、教育、研究を行って参ります。その目的は、歯科医療の進歩のためにイノベーションを起し、社会に貢献することです。同じ目的を持った若い方々を歓迎いたします。